「どうしよう……西宮さんと目が合った……
俺、もう死んでもいいかもしれない……」
「気のせいだ、死んでいいぞ」
どうやら俺たちのクラスの前を西宮が通ったらしい。
感動に震え騒がしい辻崎と、それに反応して目が鋭くなる女子に思わず苦笑いする。
もはやコントのようなその連携は、実のところちっとも笑えないのだが。
昨日の出来事を皮切りに、西宮の噂話がこれでもかというほど耳に届くようになった。
いや、今まで無関心すぎただけで、噂話の質と量は変わらないのだろう。
好意的なものもあれば、否定的なものもあった。むしろ否定的なものが大半で、時には胸糞悪くなるようなことまで耳に入る。
