「教室におるとよく聞くよ、鶴長くんの噂」 「ええ……」 「そんな顔せんでも」 人気者やねんな、なんて屈託無い表情で微笑む西宮。 「(のまれそうになる)」 何となく、息が苦しい。 「……じゃあ俺はこれで」 本来なら教室に鍵を取りに行ってすぐ帰宅する予定が、えげつない場面に出くわしてしまった。 「面倒に巻き込んでごめんね」 「……別に」 俺が勝手にしたことだし。