呼吸をとめたピエロ


俺の声を聞いた女達はビクッと肩を震わせ、こちらに視線を這わす。


「あ……つ、鶴長くん」


ゆっくりと教室に足を踏み入れる。

声の正体が俺だった事がそんなに意外なのか、女達は目をぱちくりさせる。


少女の髪を掴んだ手が離され、小柄なその影がくらりと揺れた。


「っ、と」


反射的にその体を支えたが、あまりの肩の細さに驚く。

絹のように細く滑らかな髪は無雑作に散らされ、顔はよく見えない。



「あ、の……これは…違うの……」


髪に掴みかかっていた女が、怯えたように声を出す。