夕食をとって、入浴を済ませて。

ベッドに横たわり、魔術書を読みふける。

そういえば最近、修内太の魔術も上達してきた。

障壁に続いて『強化』の魔術も行使できるようになったのだ。

勿論呪眼による行使だから、高速詠唱なんて出来る筈もないけど。

弟子を見守る師匠の気分だ。

あまり魔道の世界に引き込みたくないのは今も同じ。

でも彼の素質を見ていると、この先彼がどこまで強くなれるのか、その可能性を確かめてみたい気もする。

ここまで有望だと感じるのは桜花以来かもしれない。

今の修内太なら、桜花くらいの魔女とでもいい勝負ができるかも。

もっとも『いい勝負』なだけで、勝つ事はできないだろうけど。

…今読んでいるのは、初心者向けの魔術書。

今度はどんな知識を修内太に教えてやろうかなんて、そんな事ばかり考えてしまう。

戦う為じゃなく、彼の成長が楽しみで。