上空へと舞い上がったメグさんと修内太さんは、そのまま飛翔の魔術で山頂へと向かっていきます。

「お、おのれ魔女め!」

怒りを露わにしながら、二人の後を追おうとする時貞さん。

でも、私…天羽桜花とジルコーがこの場に残された意味は、理解しているつもりです。

「        ッ!」

私は即座に『氷壁』の魔術で時貞さんの行く手を遮りました。

突然現れた数メートルの高さの氷の障害物。

時貞さんは足を止め、振り返って私を睨みます。

「娘…邪魔をするな。俺は女子供だろうと容赦はせぬぞ」

「……」

伝わってくるその殺気に、膝が震えました。

先程までは、それでも命までは奪わないという手加減があったんでしょう。

この場から立ち去れば追いはしない。

そんな暗黙の了解があったように思います。

しかし今は違う。

邪魔をするなら遠慮なく両断する。

命とてたやすく奪う。

時貞さんからはそんな気配が感じられました。