ベッドに寝そべり、考える。

…魔女狩りの頃。

私は何度も人間に殺された。

魔女の嫌疑をかけられ、拷問にもかけられた。

真冬の池の底にも沈められたし、磔にされて火炙りにもされた。

賞金欲しさに引きずり出され、唯一心を許したエリスまで…。

「っ……!」

思い出すと今でも腸が煮えくり返る。

人間は嫌いだ。

人間の本性は悪に違いない。

私の中で、それは永遠に変わる事はないだろう。

でも。

…百のうち、一や二は。

信頼に足る人間も存在する。

そこの所は認めてやってもいいかな、なんて最近考え始めた。

私の正体が魔女だと知っても態度を変えず、己よりも他人の為に命を張り、他人の喜び、悲しみを我が事のように感じられる人間。

驚いた事に、そんな人間も存在するのだ。

この御影市に来てから、私はそんな希少な人間を何度も目の当たりにしてきた。

それは人間に対してどす黒い怨念にも似た感情しか持っていなかった私の心さえも、少しずつ融かしていくほどの驚きだった。