山はそれ程標高は高くない。
並みの人間でも、一時間もあれば頂上に辿り着けるだろう。
しかし、今回はそうはいかない。
私達は只の山登りでここに来ている訳ではないのだ。
そして、ここの『住人』も私達の目的に感づいている筈である。
「…!」
突然。
ジルコーが先頭を歩く私の肩を掴んだ。
「止まるんだ四門…どうやらお出迎えらしい」
人狼であるジルコーの嗅覚は並外れて鋭敏である。
その嗅覚が、目前にいる姿無き『番人』に気づいたのだ。
「…地縛霊だって聞いていたけど?」
私が言うと。
「どこへでも往くさ」
スゥッと。
そんな音が聞こえるかのように静かに、一人の侍が私達の目の前に現れた。
「姫の眠りを守る為ならばな」
元結(もとゆい)で縛った長い髪。
無精髭の生えた厳めしい表情。
袖のちぎれた着物から、張り詰めた腕の筋肉が露出している。
そして目を奪われるのは、背中に背負った身の丈以上の巨大な刀剣…。
その出で立ちだけでわかる。
この男は相当な使い手だった。
並みの人間でも、一時間もあれば頂上に辿り着けるだろう。
しかし、今回はそうはいかない。
私達は只の山登りでここに来ている訳ではないのだ。
そして、ここの『住人』も私達の目的に感づいている筈である。
「…!」
突然。
ジルコーが先頭を歩く私の肩を掴んだ。
「止まるんだ四門…どうやらお出迎えらしい」
人狼であるジルコーの嗅覚は並外れて鋭敏である。
その嗅覚が、目前にいる姿無き『番人』に気づいたのだ。
「…地縛霊だって聞いていたけど?」
私が言うと。
「どこへでも往くさ」
スゥッと。
そんな音が聞こえるかのように静かに、一人の侍が私達の目の前に現れた。
「姫の眠りを守る為ならばな」
元結(もとゆい)で縛った長い髪。
無精髭の生えた厳めしい表情。
袖のちぎれた着物から、張り詰めた腕の筋肉が露出している。
そして目を奪われるのは、背中に背負った身の丈以上の巨大な刀剣…。
その出で立ちだけでわかる。
この男は相当な使い手だった。


