部屋に戻り、着替えを済ませる。

溜息を一つつき、ベッドに腰掛けた。

…机の上には一通の手紙が置いてある。

先日鴉の使い魔によって届けられた、デッドゲイト家の分家である天羽家の三女、桜花からの手紙だ。

一人前の魔女になり、人間社会に順応して上手くやっているという内容。

それから初めての実戦をしたとか、他にも色々と。

…昔から桜花は、人当たりが良くて誰からも愛される性格だった。

魔女だという事さえばれなければ、あの子はどこででも友人を作って上手くやっていけるだろう。

人間付き合いの苦手な私とは大違いだ。

…でも私だって、今の学校ではかなり上手くやっている方だと思う。

これまでは、友達といえる存在が一人も出来ないまま卒業、なんてのも珍しくなかった。

それが今回はクラスメイトで口をきいた事のない奴なんて一人もいないという、私にしてみれば異常事態。

それもこれも。

「ま…修内太の影響なのは否定できないけどね」

小さく呟き、それが少し癪だったので、壁にクッションを投げつけた。