分かれ道に差し掛かり、私は修内太とそこで別れる。

坂道を登り、洋館へ。

『開錠』の魔術で鍵を開け、玄関でローファーを脱ぐと。

「帰ったか、メグ」

梟の使い魔、長老が羽ばたいてきて、階段の手摺りに止まった。

「ただいま、遅くなっちゃった。すぐに餌の準備するね」

コートを脱ぎながら廊下を歩く私に。

「付き合いが多くなってきたの」

長老は意味ありげに含み笑いながら言った。

「……」

振り向いて、じと目で睨んでやる。

「人間を蛇蝎のように忌み嫌っておったメグ・デッドゲイトからは考えられん行動じゃ…すっかり『四門メグ』になってしまったのかの」

ホホホと。

長老が笑う。

「演技よ、演技。人間社会で生きていくには、それなりに愛想も振り撒いておかなきゃね」

癪に障るので、長老の方には顔を見せないでおく。

「あの修内太とかいう小僧に忠告されたのじゃろう?ホホ…あの小僧に対しては素直なのじゃな…まるで普通の娘御のようじゃ」

「……」

私は振り向いて、思いっきり長老を睨んでやった。

「長老、今日餌抜き」