スーパーで買ってきたミネラルウォーターを冷蔵庫に入れ、
朱莉が好きだと思われる雑誌を抱えて部屋へと向かう。


階段を一段一段上る度に比例して高鳴る心音。

恥ずかしいぞ俺…。



一度大きく深呼吸してから『Akari』と書かれたプレートの前に立つ。


――――コンコン


「朱莉?」

「ハルにい?!入って!!」


ドア越しに聞こえる愛しい声。やっぱり少し擦れてる。

ってか、そんな軽々しく「入って」って…。
他の男が来たときもそんな軽く言っているのか…?


急に生まれる嫉妬。本当に醜い。


少し悔しくなった俺はドアを半分だけ開け、顔だけを出す。

そして「風邪が移る」

とか可愛くないこと言う。

「ちょ、馬鹿は余計だよーー!!」
でもそう言いながら頬を膨らせる朱莉が可愛くて、
またからかいたくなる。



『嘘だって』そう言おうとしたときに、二言めに朱莉が




「…いいよ、入ってこなくて。」




床に視線を落とし気味に普段よりトーンの低い声で呟いた。


…なんで?



「矛盾してんだろ朱莉。嘘だって。」

苦笑いしながら部屋に入る。


朱莉といると調子狂う…。