今目の前にいる人が、

手紙の差出人だなんて……


この際、彼の性格なんてどうでもよくなった。

今までずっと差出人に訊きたかったことをぶつけてみる。


「どうして、あんな手紙を…?」

絵が好きなの?

じゃあどうして美術部に入らなかったの?

どうして…


「どうして、私だけなの?」


「………。」


彼はしばらく何も答えず、ただ私の絵を見つめた。


そして



「好き、なんだよ。

お前も、お前が描く絵も。」



「……………ぇ…。」



心の奥にある何かを掴まれ、ギュっと大きく締め付けられた。


窓の向こうはもう真っ暗なのに、

私と、彼と、絵が、


白く明るく照っているように見えた。