僕達はみんなの待つギャラリーの駐車場に車を置いて姉貴とやっと合流した。
『おー、万優里どないやった?』
小河さんは返事もせずに峰岸さんの横を過ぎ、僕に近づいたら下から繁々と見上げられて一言、
『今からうちの走り見したる。
慎吾、一ノ瀬行くで!!』
と、車に乗り込み下って行ってしまった。
『万優里様のご指名や。
もっかい行くで、一ノ瀬。』
『ボクもかいな…』
と再び仁と峰岸さんも下りていってしまい、そして響は周りも気にせずにギャラリーへと一人走って行ってしまった。
さっき人が走った先頭をまゆちゃんが走り、二番目は仁でなく峰岸さんで、ラストが仁だった。
さっきとまた全然違う…
まゆちゃんの走りは一見荒々しく見えるけど、抑える所は丁寧に揃え合わせ、他の二人に負けない迫力の中で、繊細で綺麗なライン取りばかり意識してる響とはまた違う。
『僕にはまだまだ課題が有りすぎる…
このままの状態で、隊長に恥をかかせてしまう訳にはいかない…』
一人で呟いてる響の隣で、車乗る事もままならい免許取りたての私が秘かにまゆちゃんの様に走りたいと思っていた。

