それでもボクはキミを想う


大きな聞き覚えのあるマフラーの音と共に、よく知る二台の車が駐車場に入ってきた。

『姉貴~、一日ぶり!
お土産忘れてないよな!』

と何故かご機嫌な響。

『勿論よ、響。』

『久しぶりやなぁ、藤崎。お前も少しは腕上がったか?』

『ご無沙汰してます、峰岸さん。
恐れながら僕はまだまだですが、よろしくお願いします。』

『お前は一ノ瀬と違ごて相変わらず謙虚でクソ真面目やのぉ。そんな固ぁならんでも、気楽にせぇや、さぁ、今から楽しみや!』

『酷い言われ様やわ。』

と隊長は姉貴のところに行き、慰めてもら…なっ!隊長!!何、どさくさに紛れて抱きついてるんですかぁ!!。

そんな茶番をみながら、峰岸さんが、

『ホンマの事やろ?
万優里、一ノ瀬らと走るけど、お前どないする?』

『あの話の事やろ?うちはパスや。』

『そぉか、ほんだら俺らは行ってくるわ。
ギャラリーに行って俺様の走りをよぉ見とけよ!!』

『言われんでもお前ら三人が適任かどうか、この万優里様がよーお見定めたるわ!!』

『おう、任しとけ。
莉乃ちゃん、万優里頼むな。』

莉乃が苦笑いしてると、

『あほっ!!うちが莉乃の面倒みとんや!
ほらっ、莉乃、行くで!』

『あっ、待って、まゆちゃん。
じゃあ仁、響、私もギャラリーで見てるね!』

私はまゆちゃんにギャラリーに連れて行ってもらうと、まゆちゃんのチームの知り合いもたくさんいた。
まゆちゃんは私の事を、“藤崎の姉貴や”と、紹介し、仁の事は何も言わなかった。