それでもボクはキミを想う



~二人の時間(弐)~





♪♪♪♪♪♪♪~

『んー……』

私は寝ぼけ眼を擦りながら手探りでスマホを探しアラームを消し天井を見上げた…
見慣れない天井にを見て、貴方の部屋に泊めてもらったことを思いパッと目が覚めて飛び起きた。

“トントン”とノックが聞こえ貴方が入ってきた。

『おはようさん。』

『おっおはよ!!早いね…』

寝起きを見られてびっくりして慌てボサボサの髪を手で整え掛け布団で顔を隠しながら貴方を見た。

『寝起き襲うたろと思うたのに残念や。』

『充分に寝起きですぅ…』

『支度出来たら下に降りといで。
今日は一日中一緒や。』

『うんっ♪』

貴方は机にあったノートPCを持ち出ていった。

私も急いで用意して下のリビングに行くと貴方は誰かと電話で話していた。
日本語で無いのは解った。

『心配せんでも仕事の話や。
朝一入ってしもたからこれ済ませたら今日は仕事から離れよ思うて。
そこにつっ立ってないで座り?
朝御飯たべよ。』

『心配してないよ…
違う言葉話してたから知らない国の人に見えてただけ…』

ほんとは心配してたけど…

『まぁ、例えば海外の方から部品仕入れたりすんのに交渉したりするやろ?
そん時にいちいち通訳つける訳にもいかへんしなぁ?
一応日本語以外にも話せんねんで、ボク』

『そうなの!!
じゃ、さっきのは?』

『ドイツ語や。』

『他には?』

『んー、京言葉。』

『それは知ってる。それ以外は?』

『基本は英語。
後は中国語。韓国語とフランス語、イタリア語、スペイン語が少しかいな?』

『そっそんなに!!』

『まぁ、オヤジの仲ええ友達に世界中放浪していろんな国の言葉話せるカナダのお人がいはって、ボクかわいがってもろたからなぁ、その人の影響やね。』

ああ響……何だか私が相手してもらえるのが不思議だよ。
“知らぬが仏”だったなぁと他人事の様に思いこみ、何も知らなかった貴方の事を少し知り、取り柄の無い自分と比べてしまい勝手に自己嫌悪していた。

私は、まだ何にも貴方の事知らない…

“ちょっと卵焼き冷めてしもたけど、食べよか”と声掛けられ、ふと我に返り貴方が作ってくれた朝食を食べた。
料理の美味さに驚くとお母様の事を少し話てくれ、家事も小学生の時からしてると言っていた。

『今度はうちに来てね。響も喜ぶし♪』

貴方は私の頭撫でながら

『おおきに。
ほな今度は莉乃ちゃんの手料理楽しみにしとくわ。』

と答えてきた。
特に料理が得意な訳では無い私は墓穴を掘ってしまった…
貴方の為にちゃんと練習しないとね?