~悠人と莉乃~
悠人との初めての出会いは、私より1つ上の先輩のバンドの練習に誘われ観に行った時。
そこでベースを弾いていたのが悠人だった。
『お久しぶりで~す、蘭先輩!』
高校時代からよく可愛がってもらった大好きな高岡蘭先輩に久しぶりに会え、嬉しかった。
『久しぶりじゃない莉乃!元気だった?
今度コイツが新しいベーシストなのよ!
結構良い音だすし、指弾き姿も中々イケメンでしょ?
ほら、悠人!
莉乃はあたしの後輩の中でも特別なんだから!』
まだこの娘彼氏いないわよ!と蘭先輩は悠人に耳打ちし、私を紹介した。
悠人は私を見るなりニッと笑って、チョッパー(ベースのテクニック)混じりのワンフレーズを、挨拶代わりに向けてきた。
少し生意気だけど正確な音とテクニックには驚いた。
悠人の奏でる音楽をもっと聴いてみたいと思ったのを覚えてる。
『俺は松宮悠人。よろしくなっ!』
『あっ、初めまして!藤崎莉乃です。
私は大学のサークルで蘭先輩と一緒のバンドでギターを弾いてたの。
今は違うとこにいるけどよろしくね!』
『莉乃さん、ギター弾くんだ!
じゃ、今度セッションでもしよ?
あっ、俺と飯でも食いにいかねぇ?』
と誘ってきて、それから悠人は、私になついてきた。
出会ったその時、悠人はまだ高校2年生で、私は大学2年生だった。

