ボクはとっさにその迷子のキミを乗せ走り出した。

『あの…ありがとう』

心の中で“こいつ(セフィーロ)の助手席に女の子乗せたん初めてやなぁ”なんて思いながらお礼言うてきたキミの頭を“ ぽんぽん”と撫でた。

いつもやったら別にボクと関係無い知らん子やし、ほっとくけど…深い意味ないんや…

なんや“第六感”いうんを感じてもた。

この車に変えて女友達は、自分の車には乗せへんかった。

どっか行くんは、仕事の車か相手の車を使う。それは、ボクの領域に入ってほし無いからと、助手席に乗せて勘違いされて彼女面されんのも嫌やったから。

それに、走るのは一人のほうが気を使わんでええ…なんて思いながら外人墓地までの待機所で一旦車を止めた。

多分、外人墓地あたりで改造車の検問やっとると思うからサイレンサー(音を小さくする部品)入れとかな…

『 堪忍、少し待っててな?
それとキミの連れに電話しとき、きっと心配してるんとちゃう?』

キミがコクンと頷くと、ボクは車の外に出て、マフラーにサイレンサーを入れに行った。

作業自体はすぐ終わり戻ったらキミは電話しとった。

『あの…待ち合わせ場所、どこがいいかな?
今の場所もわからなくて…どうしたらいいかな?』

『せやなぁ…
外人墓地抜けて、西六甲の方にいく突き当たりまでにいくつか駐車場があるから、外人墓地抜けてから先の二つ目の駐車場で待ち合わせしよか?』

そして再び車を走らせた。

なんやまともな会話もしてないし、沈黙が続いたけど、キミとおるんは嫌ではなかった。