それでもボクはキミを想う


ちょっと車から離れてタバコ吸いに行って帰ってきたら、なんやボクの車をじっと見とった女の子がおった。

『ごっ…ごめんなさい…ホントにごめんなさい…』

あたふたしながら謝り続けとった。
見かけん子やな?と思いながら絡まれても面倒やから“別に謝らんでええよ”と言うた。立ち去ろうとしてたボクをまだ見てたから、ちょっと意地悪してもた。

『まだ、何か用あんの? 』

『えっ…ないです……』

少し怯えながらボクに応えペコリとお辞儀してその子は離れて行った時、何だか周りが騒がしくなりはじめた。

『おーい、一ノ瀬!!ポリ来たから逃げるで!!
下ったらあかんぞ!!
あっ、こっらぁ!!ハゲ慎吾!!下んな言うたやろ!!』

『小河さん、おおきに!!了解ですわ!
あーあ、また慎吾くんオチョクリに行ってもたか!』

取締りをすりぬける為、みんな一斉に動きだした。
ボクは自分のショップを守らなあかんから一応、オトナシイ警察がこん方へ行こうと思い、車に乗りかけた時、人と車が行き交う中、あの子の戸惑った姿をみつけた。

“あかん、待てんわ…”
ボクはあの子にかけより、

『警察に捕まりとぉなかったら黙ってボクについといで』

と手首を掴み、ボクの車の助手席に乗せて走り出した。