西六甲から再度山を走り途中の駐車場で響は車を止め、浅井くんと久須本さんは、そのまま下っていった。

『姉貴、まずはギャラリーコーナーに行こう。』

車から降り、いろいろな爆音が聞こえる中、響の後を付いて行くと、ギャラリーコーナーと呼ばれる所へ続く山の小道は思いの外、人が溢れていた。

『ここにおいでよ。』

と、場所を見つけると私を呼び、響は自分と丸太の様な木でできた策の間に私を立たせ、二人の車を待った。

『このコーナーが、ドリフトする人達の見せ場だよ。』

ギャアギャアとタイヤの鳴く音と、ヴォーヴォーとマフラーの爆音とで話声も聞こえず、タイヤの溶けて焦げた匂いや煙で目も痛かった。

何が面白いのかわからないと思い、ちょっと目をとじてた時に、わあぁぁぁっと歓声がおこった。

あわてて目を開けてコーナーをみれば、真っ赤なトレノと、真っ黒なレビンだった。

『 姉貴、浅井と久須本さんが来たよ!!』

先に浅井くんの車が来て、その後に久須本さんが走り、見せ場のコーナーで、ツインドリフトをみせて観客を沸かした。

『あれが…ドリフトなんだ…』

びっくりしてると、その三台位後から、浅井くん久須本さん以上に歓声がおき、早いスピードに、凄い音をたて、カーブの無い直線でも車をギャアギャア鳴かしながら直線ラインでもドリフトし、勿論コーナーでも派手なドリフトをしていた。

『ねぇ、響…
何かわからないけど、浅井くんと久須本さんの三台後位で走ってきた車…
かっこよかった…
何か凄いオーラ感じた…』

『ああっ、あの車凄いのわかった?』

響が憧れてる人らしい。

『 僕の車は“ローレル”で、あの人のは“セフィーロ”っていう車で兄弟車なんだよ。
しかも直線ラインでもドリフト出来るあの人の走りはかなり凄いんだ。』

『そうなんだ。
そろそろ私と離れて響も走りたいんじゃない?ここにいるから、走ってくれば?』

と言いつつ、響のってあんなにオーラないなぁ…と思った。

『少し走ってくるから、ここで見ていてくれる?また、後で迎えにくる。』

そう言うと響は行ってしまい、私はそのままギャラリーに残り見ていた。