裏六甲の駐車場から西六甲を抜けて再度山に向かう中、響が仲間の事や車のことを話してくれた。

さっき会った浅井くんと久須本さんは、色んなとこで行われるドリフト大会のベスト10入りの常連らしく、雑誌もちょこちょこ載ってるらしい。
そして今度はツインドリフト部門に出場する為にハチロク同士でコンビを組んだらしい。

『響は出ないの?』

『たまに走るよ。
姉貴、バンドばっかりしてたから知らなかったでしょ?』

って響に笑われた。

『それと姉貴、色んなチームが来てるから、迷子になるなよ。
たまに危ないこともあるし、警察も来たら逃げないといけないしね?』

『えっ!!けっ警察って、響そんな悪いコトしてるの!?』

『んー、まぁ、サーキットで走るのはいいけど、山は公道だからね。
サーキットだと一回走るだけでかなりかかるし、金がついてかないから練習は山なんだ。』

『響、あんたは優等生のイイコちゃんだとばかり思ってたけど、案外すごいのねぇ。
私からしたら、走り屋も暴走族も一緒に感じるけど…そんなこと言ったら怒られそうね!』

『“走り屋”と“暴走族”は違うから一緒にするなよ!』

といつもは物静かな響が“ビシッ”とそこは言った事に対し、走り屋としてのポリシーを感じた。