それでもボクはキミを想う


奥田さん助けた次の日、その日は学校もあったし、オヤジに手伝い頼まれとったから、コンビニのバイトは休みやったけど、
その次の日は学校が昼までで、そのままバイトに行った。

『仁、今日は30分早い5時で上がってくれていいよ』

なんて、店長の槇原さんが珍しいこと言ってきた。

そしたら案の定、奥田さんが律儀にお礼しにボクのバイト先のコンビニへ来たことを聞いた。

『可愛い娘だね、桃ちゃんは。
君が桃ちゃんを助けた事を聞いたよ。
なぜ家の場所、教えてあげなかったんだい?
せっかくお礼言いに来てくれたのに、仁がいないのを聞き、がっかりした様子だったよ。
ちょっとかわいそうじゃなかったかい?』

そう興味深げに言ってきたから、なんやかんや詮索されんのも面倒やし、早よ帰りたかったんもあるし、無表情でさらっと意地悪な反応を店長に返しといた。

『興味無いんで…』

とボクが言った後に、

『まぁいい、仁、教えてもらえず残念だよ』

とフッと笑いながら言う店長に、ボクは、にぃっと口角をあげといた。

しかし、店長もボクに意地悪してきて、

『でも、仁、せっかくお礼いいに来て、会えないでそのまま帰すのは余りにかわいそうだから、君の家を教えておいたよ。
多分、今日帰ったら来てるんじゃないかい?
そう言うことだからもう上がってもいいよ。
また、明日も頼んだよ。』

『・・・!!』

(何してくれんねん!オッサン!!
個人情報は守らなあかんやろ!!)

ボクは、叫びたくなった自分を抑え、その日は5時で上がり、まっすぐに家に帰った。