それでもボクはキミを想う


みんなは遥香先輩の切ない歌詞に、やはりバラードでくると思っていたらしいが、マイナー調ではあるが、ミドルテンポで頭に残るフレーズに自分達のバンドの新しい一歩になりそうな曲だと喜んでくれた。

『莉乃、上出来じゃない!!
思った以上の出来よ!
これ、あんたと一回しかこの曲出来ないのは惜しいけど、心、変わりそうもないか…
聞いて、わかったよ』

『俺も負けてはいられねぇなぁ。
藤崎、こんな感じになるとは思いもよらなかったぜ。
もし俺が受けていたら、間違いなくバラードにしてたぜ。』

『ねぇ、莉乃ちゃん…
せっかくこんないいの出来たのに…
辞めるのはもったいないよ?
せっかく今度ライブも観てもらえてメジャーに近づいて来たのにぃ…』

『ありがとう美咲ちゃん。
でも、なんて言ったらいいのかなぁ…これができて、正直もぉ音楽に限界感じたんだ。
そう一度感じてしまうとメジャーみたいな厳しい世界には向いてないと思った。
みんなとバンドは楽しいし、ライブは気持ちいいし、続けたかったけど、プロになる足手まといにはなりたくない。
でも、ギターもピアノも弾き続けるから、気が向いたらセッション位はしてよね!』

『うんっ!
下手にならない様に練習続けといてね!
まぁ、そのうちプロとアマの差を私が思い知らせるわ!!』

なんて言われながら、自分で決めた事ながら寂しさを感じた。

『それに私、もう、バンドは組めないよ。
遥香先輩と石田くんと美咲ちゃんとのバンドが最高だからね!
他で組んだらこのバンド辞めたこと絶対後悔しそうだしね!』

『当たり前でしよ!
莉乃に絶対に後悔させてやるわ。
まぁ、永久の別れじゃないんだし、たまには練習スタジオに顔だしなさい!』

『ありがとうございます~!
遥香先輩~!』

なんてふざけて抱きついた私を遥香先輩は抱きしめてくれた。