それでもボクはキミを想う


私は目覚めたら、今までいたスタジオでなく、響が見守る中、病院の簡易ベッドに寝ころび、点滴を射たれていた。

『 …。』

『 目が覚めた?よかった…
心配したよ、姉貴。』

『あっ…響…心配かけてごめん…』

『じゃあ、今井さん達に連絡してくる。』

そう言うと響は病室を後にした。

響と入れ代わる様に、担当医だと言う花野先生が、入ってきた。

『お目覚めですか、藤崎さん?』

『……』

『藤崎さん、あなたの心と体はかなり無理をしていましたね?
少しここでお休みになり、私とお話しましょう。』

『……』

私は無言でまた、勝手に涙が溢れてきたので、布団をかぶり、背を向けて踞って泣いていた。

花野先生は、私が泣いてる間、ベッドの横で優しい笑顔で話しかけてくれ、背中を擦ってくれていた…。

『すみません…
もう…大丈夫ですから…』

『藤崎さん、泣くということは、恥じらう事ではありませんよ。
無表情では無く、感情表現ができるという事は素晴らしい事なのです。
人は生きていれば、色々な困難にも立ち向かわなければなりません…
その困難に立ち向かい、乗り越えられた時に、また一つ成長できるのです。
お仕事でも、恋愛でも若い時の苦労は買ってでもした方が、後々の人生に役立つものですよ。
何でも悩めるという事は幸せですよ。
さぁ、しっかりご自身を見つめてごらんなさい。
きっとその答えが見つかりますよ。』

諭すように話してくれた花野先生の言葉に私は励まされた。