とにかく動いていた方が、明のことも思い出さないしいいなぁと彩華は判断したのだ。

助手席に伸彦を乗せて、車を発進させる。
時刻は朝の7時に近づいていた。

ゴキゲンなロックを流しながらドライブする。
伸彦は助手席で眠ってしまったようだ。

幸せそうな寝顔は、確かに甘いマスクで、女性の心をくすぐりそうではある。

とはいえ

……こーゆー気まぐれ猫的性格なわけよ、コイツは。

と、彩華は思う。

もっとも、伸彦は車の運転をしないことも、助手席ではかなりの確率で寝ることもとっくに知っていたので別に頭にきたりはしない。




これはもう、好みの問題だ。

プライド高き孤高のペルシャ猫に、きっと皆は弱いのだ。
餌とかあげちゃって、自分の手元で飼ってみたいのだ、きっと。

私はもうちょっとイヌ科の人のほうが好きだなー。
従順で、優しい人−−−

そこまで考えて、ちょっと思考を止める。

明のこと、そうだと思ってたのに実際は全然違ったんだっけ。



難しいなぁ。



とはいえ、彩華は伸彦のように「恋愛しない主義」にはなれそうにもないと思った。

いくらなんでも淋しすぎる。

そりゃ、伸彦のように周りが放っておかないタイプと自分を比べるのが、まぁ、間違えなのだ。