『そっか。
実はな、お兄ちゃん今日休みを取ったんだ』
お兄ちゃんが休み?
珍しい。一ヶ月に数えるほどしか休まないのに。
『だから、これから前に話した知り合いのお店に食べに行かないか?今日は好きなだけごちそうしてあげるよ』
お兄ちゃん…わたしが前々から行きたいって言ってたのを覚えてくれてたんだ。
お兄ちゃんってば、ほんとにやさしいんだから…。
でも…。
「ごめんなさい…今日はアルバイトに行かなきゃならなくて…」
『アルバイト?』
あ…。
声色が、変わった…。
『そんなのは休めばいいじゃないか。『家の人と大事な用事ができた』って言えばいい。
小さな店なんだ。日菜ひとり休んだって、大してさしさわりはないだろう?』
「で、でも…人手が足りないらしくて…まだ半人前だけど少しでも役に立ちたいから…」
『緊急の休みすら取らせられないなんて、なんてひどい店なんだ。まったく…これだから小さな店は…。どうしてそんなところで働いているんだ、日菜』
「……」
『昨日だって指に火傷をして帰ってくるし…。もう少しちゃんとしたお店なら、指のことを考えて休ませてくれるだろうに。店員のフォローもできないのか』
どんどんエスカレートしていって、お兄ちゃんの口調が変わっていく…。



