あ、あれ。
ところで、わたしの失敗したサル…クマアートはどこに行ったんだろ…?
きょろきょろしていると、榊くんが戻って来た。
「サービスであのサルアートも出したらよろこんでたぞ」
「え…?」
あれ、お客さまに出したの…!?
きれいな切れ長の目をすこしイジワルそうに細めて、榊くんはさらりと続けた。
「『新メニューですかぁ?』だって。本日のみの限定メニューですって言ったら『ラッキー』って笑ってたぞ」
「ひ、ひどいよっ、『あんなの出せない』って榊くんだって言ってたのにっ」
「『クマ』ならな。『サル』なら申し分ねぇよ」
と、ニッと口端をゆがめるイジワルな顔。
ひどいっ、って思うのに、くやしいけどそんな顔もかっこよくて…顔がかぁあと火照ってくる。



