裕未さんと心を通わせることが出来た私。
その日から、また新しい一歩が開かれる。

紗雪はいつもいつも私を私の知らない眩しい世界に連れて行ってくれて、
そんな時間がとても優しくて。


学校では一日中、紗雪や裕未さんと一緒に行動した。
放課後になったら病院の日は楓我さんの元へと顔を出す。


ゆっくりとラウンジでお茶をして病院の屋上にお散歩に出掛ける。

セッションの日は裕先生の診察室に顔を出して、
少しずつ自分の心の中を整頓していく。


セッションの間はやっぱり疲れちゃうことがあるけど、
いろんな外の世界に関わることで様々な形の物事との向き合い方が出来るようになった。


毎日が心が温かくてポカポカしていて、
これが私の知らなかった幸せなのかなって心から感じられた。


Ansyalも健在。


紗雪だけじゃなくて、裕未さんもAnsyal好きが判明して、
それ以来三人でLIVEに出掛けたり外出許可を貰った楓我さんを交えて四人で出かけたり、
学校生活も放課後も輝いて見えた。



そして一学期の学期末考査が終わったLIVEの日。



この日も紗雪が紹介してくれたチームの人たちと一緒に、
LIVE前のひと時を過ごしていた。


相変わらずコスプレ姿で会場前に屯う光景は圧巻で、
この場にいることすら場違いじゃないのかさえ思ってしまう。


紗雪は今日もばっちり十夜ルックに体を包んでチーム仲間と写真撮影。


何度も「撮影させてください」なんて言われて、
ポーズを決めながらチームの幹部さんたちと慌ただしそう。


そんな紗雪を見つめながら隣で裕未さんがクスリと笑う。



「どうしたの?裕未さん」

「変わってないなーって思ってさ。
 紗雪って、昔からずっとあぁなんだよねー。

 何で……私、紗雪を避けようとしたのかな。
 幼い時から一緒に歩いてきてたのにさ。

 里桜奈ちゃんがきっかけくれないと私たち、
 まだ……道が交わってなかったかも知れない。

 有難う……」



改まって言葉を噛みしめるように紡ぐ裕未さんに、
私も本当に声をかけてお友達になれて良かったって心から感じられた。



「裕未さんはAnsyalでは誰が好きなの?」



思い切って質問してみる。



「私はTakaが好きかな」

「あっ、一緒。

 私もTakaが好き。
 紗雪は十夜命なんだよねー。

 紗雪の周りも結構十夜率高いよね」



会話に詰まったときはAnsyalが助けてくれる。



沈黙になりそうな空気をAnsyalは必ず救ってくれる。


音楽で会話で……ステージで。