「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
駅まで向かう間、
初めて自分の為についた嘘にちょっぴり罪悪感を抱えながら歩いていく。
駅のロータリー。
クラクションの音で周囲をキョロキョロ。
黒い車のドアが開いて見慣れた人が私の名前を呼んだ。
「楓我さん……」
「お疲れ様。
ほらっ、荷物かして」
荷物を手渡した後、マジマジとみた車にはSKYLINEと入ってた。
荷物をトランクに入れた楓我さんは助手席のドアを開けてくれる。
「乗って」
促されるままに私が乗り込むとドアは閉められて、
運転席に楓我さんが乗り込む。
車は静かに走り出した。
車内には大好きなAnsyalのサウンド。
さっきまで微かに残ってた罪悪感は、
すぐに……この優しい時間に消え去ってた。
車はスピードをあげて高速道路を突っ切っていく。
故郷を離れる私の心は凄く穏やかで、
ゆっくりと晴れ渡っていった。
隣には楓我さん。
チラリ運転に集中する横顔を見つめる。
「どうかした?」
ちゃんと私のことを受け止めてくれるこの人に……、
私……恋してるのかも知れない。
……多分……。
初めての嘘は微かな甘酸っぱさを連れて……車は走っていく。
まだ知らない私の未知の世界に向けて。



