学校の校門を出て私が向かうのは、
通いなれた病院。
電車を乗り継いでいつものように病院に顔を出す。
トントン。
手の甲でドアをノック。
「楓我さん、居る?」
中からゆっくりと扉が開かれる。
「こんにちは。
里桜奈ちゃん」
「こんにちは。
入っていい?」
「どうぞ」
楓我さんは、いつものように病室の中に通してくれる。
ベッドの上をトントンっと叩いてそこに座らせてくれる。
指示された場所に、チョコンと座る私。
「今日は診察?」
「うん。
まだ時間あるから……」
「そっか。
里桜奈ちゃん、来るたびに明るくなってくね。
高校生活は楽しい?」
「……楽しい……。
でも、まだ心の中ぐちゃぐちゃだよ。
わかんないことだらけ」
小さく呟くように吐き出すように、
こぼす言葉。
「わかんないことだらけでいんじゃない?
ゆっくりと知っていけば。
わかんないから、もういいやーって、
そこで諦めてなければさ。
ちゃんと、わかんないことに向き合ってたらいんだよ」
ゆっくりと言い聞かせるように楓我さんがそう言った。
「あっ、里桜奈ちゃん。
来週なんだけど、俺に付き合わない?
直弥には交渉して、次の検査で異常がなければ外出していいって言われたから」
ベッドサイドの貴重品が入った引き出しをサっとあけて、
財布の中から取り出したチケット。
☆
Ansyal
~天の祈り~
xxxx.5.5 クリスタル ホール
☆
チケットに記された日付。
Ansyalの文字。
吸い寄せられるようにそのチケットに触れる。
「楓我さん。
これって、Ansyalの次のLIVE?」
「そうだけど……。
里桜奈ちゃんAnsyalにはまったみたいだし、
良かったら 一緒にどうかなって?
俺と一緒でいいんだったら……だけどな……」
楓我さんが、悪戯っ子的な笑みを浮かべた。
「行きたい。
行きたいです。
でも……」
「でも?」
「その日……約束があって……」
「約束?」
楓我さんに紗雪との約束を伝える。



