「ふふっ。
なんで私が暴走族やってるって思ったの?
流石の私もフローシアの住人だよ。
族に入ったりしないって」
「でも……さっき言ったよ。
紗雪……チームとか総長って」
次の言葉は勢いも覚悟も必要なくて自然にこぼれ出る。
「あぁ。チームと総長でそこまで話飛躍させる?
里桜奈って天然だよねー」
天然って。
普通、思うでしょ。
「だったら、そのチームと総長って何よ?」
「あぁ、チームは私設ファンクラブのこと。
FC(ファンクラブ)はオフィシャル。
でもオフィシャル以外にもファンの子たちで作ってる私設ファンクラブってのがあるの。
でも、私設ファンクラブって呼ぶの長いじゃん。
だから……チームって親しみを込めてね。
どのチームにもチームを取り仕切ってくれる幹部さんたちが居て、
トップが総長って呼ばれる」
なんか……大げさだなー。
「チームとか総長って凄いね。
私が入ってるチームは、人数が凄く多くて全国規模。
今度、総長の貴姫【たかひめ】さんがこっち来るんだ。
支部長の、実華【みか】さんたちもいらっしゃるし。
それで里桜奈も紹介しようかなーって。
同じ、Ansyalファン。
『天使に抱かれた』仲間だもん」
チームの話題をしてる紗雪はテンション高くて、
興奮気味で凄く大切にしてるのが伝わってくる。
学校に到着して授業が始まっても、
休みのたびに……私の机に来てはチームの話を聞かせてくれる。
休み時間、私の居場所が何処にもなかった
あの時間は今は終わりを告げてる。
だけど……それは常に私にとっては隣り合わせの時間で、
何時も、その時間に怯え続けてる。
「なら次のAnsyalのLIVE里桜奈も参加してよ。
私、総長に……伝えとくから」
流されるまま……そのチームの皆さんと逢うことが約束されて、
教室を後にする二人。
放課後、部活に向かう紗雪と帰宅部の私。
そしてこのまま、ゴールデンウィークの休みに突入する私たちは、
寮に滞在することが出来なくて、一時自宅へと帰宅する。
……わかんないよ……。
友達って何?



