……友達……。
『私たち、友達だよ』
脳裏に蘇るのは奈知の言葉。
誰もいないところで私が見えて、
誰かが居るところでは私が見えなくなる人。
……友達って何だろう……。
「ほらっ、また。
今日の里桜奈ボーっとしすぎっ。
里桜奈は私と友達じゃないの?」
紗雪の深い切り込みは今も続いていく。
友達がわからない私に友達だって言う資格あるのかな?
でも友達欲しいよ。
本当の友達がどんなものなのか……私も知りたい。
それに……ここで違うって言ったら、
答えられなかったら私……紗雪に嫌われてまたひとりぼっちになっちゃう。
そんなの嫌っ!!
「うん。
私と紗雪は友達だよ」
勢いで一気に伝えた言葉。
それは勇気の言葉?
未知の言葉?
夢の言葉?
それとも……独りになるのが嫌だから?
「良かったー。
せっかく出逢ったAnsyal仲間なのに、
里桜奈に嫌われてたらどうしようかーって思っちゃった」
「うん」
「そうそう、里桜奈に紹介したい人がいるんだ。
私、チームに入ってるんだよね。
今度、私の紹介ってことでチームの総長に里桜奈のこと紹介したいんだけど……どう?」
チーム?
総長?
チームって暴走族?
走りや?
ちょっと、物騒な響きの言葉に思わず紗雪の顔をマジマジと見つめる。
「何?里桜奈?」
「えっ?いやっ……」
「なんか、あるでしょ。
アンタ、物言いたそうな顔してるもん」
紗雪は私を見てクスクス笑う。
「ほらっ、里桜奈。言ってみなって」
「……チーム……って?
紗雪……雰囲気に似合わず暴走族やってるの?
あっ、だからって……私、軽蔑するとか、
友達やめるとかってわけじゃないから」
一気に……吐き出すように早口で伝えきる。