「はいっ。初期カスタムOK。
 続きは私の部屋じゃないと無理かな。

 少し隣の部屋に来て。
 紅茶、ご馳走様」


早口で紡ぐ紗雪ちゃんにひきづられるように、
ドアの鍵を閉めて紗雪ちゃんの部屋へ。


紗雪ちゃんの部屋にはパソコンとかオーディオが充実していて、
同じAnsyalの曲を聴いてても聴こえてくる響きが全く違った。


何もかもが新鮮だった。



紗雪ちゃんの魔法によって私の殺風景な携帯の待ち受けにはAnsyalの待ち受けが。



着うたにもAnsyalの曲が一式詰め込まれる。
新しく出来たメールアドレスも私の願いどおりAnsyalと繋がったメッセージを込めたメルアドで。



その後、紗雪ちゃんは自分の携帯を取り出して何かを表示させて、
あっという間にお互いの携帯を向き合わせて何かを操作する。



「はいっ。私の携帯の連絡先登録しておいたよー。
 里桜奈のも貰っていい?」

「勿論」




新しい世界。

新しい生活。


そして……Ansyalから広がった第一歩。



新しい友達。





この紗雪との出逢いが、今以上に私の生活を変えていくことになるなんて、
この時は思いもしなかった。