その日のうちに、荷造りを済ませて私は自宅を後にする。

最寄り駅まで向かったところで、
握りしめていた携帯が震えて、本当に朝日奈さんが迎えに来てくれているのを知った。




こうしてこの駅で拾って貰っていると、
楓我さんが迎えに来てくれたことを思いだす。


そんな楓我さんとは、あの日から今も連絡がとれない。



「ほらっ、荷物貸せよ。
 トランクに入れるから」


運転席から出てきた朝日奈さんは私の手にあった荷物を軽々と持ち上げて、
トランクへと詰め込むと助手席のドアを開けた。


助手席に座り込むと、そのままドアを閉めて運転席へと乗り込む。



「兄貴の車なんだ……」



車内に流れるサウンドが、Ansyalの曲じゃないことに何故かホッとしてる私が居た。





あんなにも大好きなAnsyalのサウンドが、
聴けなくなってしまった事実に私自身、ショックでたまらなかった。




朝日奈さんに連れられて、知らないお寺へと集合したチームの仲間たちは副総長を見送った。
小さな骨壺におさめられた副総長の遺骨は、住職の心遣いで暫くの間、預かってくれることになった。


私たちが何時か、皆で予算を出し合って雪奈さんのお墓を作れるその時まで……。





Ansyalが繋げてくれた仲間。
Ansyalに繋がるからこそ、続いてしまった悲しみ。
         




深い悲しみが、ぶつけるところの存在しない怒りとなって
私たちの心の中に渦巻いていくのを感じた。





翌日、私と紗雪はフローシアの寮へと戻り、
三学期を迎える準備を始めた。