えっと?



突然の言葉に私は、驚いてしまう。


私の顔を見ないと安心できないって、
どういう意味?



「最寄り駅についたら連絡するよ。
 逢えそうな場所まで出向くから、少し顔見せて」


そう言うと楓我さんは電話を終えた。






その後、着替えを済ませて1階に降りると
すでに美桜とお父さんがが家の大掃除を手伝っていて、
お母さんはお節料理を作ってる。




「あらっ、おはよう里桜奈。
 まだ休んでいいわよ。

 無理しなくていいから、ゆっくりしてなさい」



お母さんは台所でそう言ってくれるけど、
リビングの掃除をしている美桜の視線が突き刺さる。




「大丈夫、手伝うよ。私も」

「じゃ、お姉ちゃんこの続きやってよ。
 私、まだ自分の部屋片付いてないんだ」


そう言うと美桜は自分が持っていた雑巾とバケツを私に託すように手渡して、
早々に階段を登っていく。



「美桜っ!!アンタ、何やってるの?」


お母さんの抗議の声も、美桜には届いてないのか、はたまた無視したのか
美桜は拒絶するように大きく部屋のドアをパタンとしめた。



「ったく……もう……」


お母さんの愚痴が自然と聴覚を刺激する。




やっぱり、こんなギスギスした空気は嫌いだよ。
そんな空気から自分を隔離するように与えられた役割に没頭する。
 



その40分後、再び携帯が着信を告げた。




メールを受信しましたっの文字の後に、
映し出されるのは楓我さんからのメール。





里桜奈ちゃん、悪い……今日は行けなくなった。
近いうちに、また連絡するから……