どうしよう、疲れてるから早く帰りたいんだけど


この人と話もしたい


迷う私に


「じゃちょっとだけつき合って」


板野は強引に私の腕を掴み

歩きだした


されるままに
私もついていった


「さっどうぞ」


車!?


板野はさりげなく
助手席のドアを開ける


ためらう私に
無言の笑顔で促す




私が座ると
静かにドアが閉まる


身のこなしは紳士的でスマートだ


エンジンが掛かり

車はゆっくりと動き出す