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「とてもいい匂いがするね」
風呂から上がってきた純正はそういいながらキッチンを覗き込んでくる。
「なに作ってるの?」
「今日は鳥の香草焼きです」
見上げた彼の髪はまだ濡れていて、無造作に後ろに流してあった。
いつもの髪形ももちろん素敵だが、オールバックもワイルドで素敵だ。純正の顔立ちなら、たとえ坊主頭でも素敵だろう。
「どうしたの、ボーっと見て。俺の顔になにかついてる?」
ハッと我に返ると純正は困った様にこちらを見ている。花名は慌てて目を逸らした。
「あ、いえ。なんでもありません。すぐ出来上がるので座っててください」
「分かった。手伝うことがあれば言ってね」
「ありがとうございます」
ネットで調べて作ったメイン料理。とてもおいしそうに出来上がった。味はあまり自信がないが、失敗が少ない料理だと書いてあった。


