愛しい人





フロントガラスを叩く雨は、更にその強さを増してきた。

純正はバックミラー越しに花名をみつめた。

低体温症かもしれない。

そう純正は考えていた。多くの人はこの言葉を聞けば冬山をイメージするだろう。

だが、こんな都会の真ん中でも条件さえそろえば起こる可能性はある。この雨のせいで気温はだいぶ下がっていたし、あれだけ雨に濡れたら、一気に体温は奪われてしまう。

「すぐに着くからな」

純正はアクセルを踏み込んだ。