翌日花名は仕事が終わると直ぐに病院の通用口に立った。
純正に直接会って、母親の治療の話をもう一度したかった。もちろん治療は直ぐにでも受けたいと思っている。しかし、莫大な治療費の負担がないというのはどういうことなのか、それをきちんと確かめてからでなければならない。
職員の仕事が終わる午後五時半を過ぎるとたくさんの人が通用口から出て行った。けれど純正はなかなか現れない。
医者が定時で帰宅するなんてないのだろう。母親の主治医の大津も夜遅くまで病院にいる。
(じゃあ、待つしかないか)
花名は覚悟を決めた。それからどれくらい待っただろう。ふと時計を見ると、十時を過ぎていた。少し前から降り出した雨は、徐々にその雨脚を強めて行く。
「今日は諦めて帰ろうかな」
独り言ちて、カバンの中を探った。
しかし、あるはずの折り畳み傘がない。そこでハッと気づく。
(ああそうか、今日は違うバックを持ってきたんだった)
花名は深くため息を吐く。
病院前から出ているバスはもう終わってしまっている。
だから歩いて駅まで向かうつもりでいたのに、傘がないなんて考えもしなかった。
この時間では病院の売店はしまっているし、近くのコンビニまでは五分ほど歩かなくてはならない。
タクシーを呼ぶことも考えたが、余計なお金は使いたくない。
(……しかたない。歩くしかないか)
純正に直接会って、母親の治療の話をもう一度したかった。もちろん治療は直ぐにでも受けたいと思っている。しかし、莫大な治療費の負担がないというのはどういうことなのか、それをきちんと確かめてからでなければならない。
職員の仕事が終わる午後五時半を過ぎるとたくさんの人が通用口から出て行った。けれど純正はなかなか現れない。
医者が定時で帰宅するなんてないのだろう。母親の主治医の大津も夜遅くまで病院にいる。
(じゃあ、待つしかないか)
花名は覚悟を決めた。それからどれくらい待っただろう。ふと時計を見ると、十時を過ぎていた。少し前から降り出した雨は、徐々にその雨脚を強めて行く。
「今日は諦めて帰ろうかな」
独り言ちて、カバンの中を探った。
しかし、あるはずの折り畳み傘がない。そこでハッと気づく。
(ああそうか、今日は違うバックを持ってきたんだった)
花名は深くため息を吐く。
病院前から出ているバスはもう終わってしまっている。
だから歩いて駅まで向かうつもりでいたのに、傘がないなんて考えもしなかった。
この時間では病院の売店はしまっているし、近くのコンビニまでは五分ほど歩かなくてはならない。
タクシーを呼ぶことも考えたが、余計なお金は使いたくない。
(……しかたない。歩くしかないか)


