結城純正。
彼もまた医学部からの友達。母親を亡くし、苦労を重ねて医者になった。
直向きで、誠実で、才能にあふれた男。もちろん顔も好みだった。
彼を好きになる女性は沢山いて、でも釣り合うのは私しかいないと思っていた。
才色兼備と言われる私。自覚もあるし、そうあるように努力してきた。
だけど純正は私の事を友達以上に思う事はないのだと薄々分かってはいた。
それだけじゃなく、純正は私と晴紀をくっつけようとしている。
『なあ、茉莉花。明後日の学会、俺行かないことにしたから晴紀と行ってこいよ』
ある日、医局で純正は私と一緒に行くはずだった外科学会に出席しないといった。


