「茉莉花は晴紀の婚約者なんだ」
「深山先生の? 純正さんはそれでいいんですか?」
「なにいってるの? 茉莉花の事が好きとかそういうこと? 俺が二人の仲を取り持ったくらいなのにそんなわけないよ」
そう聞いて花名は密かにほっとした。
「ああ、そうだよ。ほら、みて。医者のお前がいたら理学療法士も仕事しにくいだろうから遠慮しろって言ってるのに付きっきりなんだぜ」
純正は呆れたように言って笑った。すると二人に気付いた晴紀が「こっちへこいよ」と手招きする。
「行こう」
「で、でも……」
遠慮する花名の手を引いて純正は二人のもとへと向かった。


