「お母さん、黙っててごめんなさい。私、純正さんとお付き合いしてるの」
もし、反対されたらどうしよう。そんな不安がよぎる。雅恵は樹と付き合うように勧めていたのだ。
「二人とも、顔をあげてちょうだい」
雅恵の言葉に花名と純正は顔をあげた。すると雅恵は純正をじっと見た。
「先生」
「はい」
「娘を好きになってくれてありがとうございます。このこは私が病気がちだったばっかりに自分の幸せを後回しにしてきたんです。だからこんな素敵な人とお付き合いしているって聞いて、本当に安心しました」
雅恵は「娘をよろしくお願いします」そういって純正に頭を下げた。
「必ず大切にします。ありがとうございます」
純正の言葉に花名は涙が止まらなくなってしまった。
「花名。もう泣くな。連れていきたいところがあるんだ……」
泣き止んだ花名を純正はエレベーターに乗せ別のフロアーへと連れていく。


