「純正さん。迷惑かけて、ごめんなさい」
「迷惑だなんて思っていないさ。気にするな」
(といっても気にするのが花名だ。彼女は今、俺が思っている以上に自分を責めているのだろう)
純正は見えてきた百貨店の地下駐車場に車を止めた。
「俺が選ぶことになるけど、いいよな。待てるか?」
「はい、待てます……あの」
「なんだ?」
「ありがとございます」
幸い、後部座席は外からは見えにくい。車内が冷えないよう、エンジンをかけたまま純正は車を降りた。
店に入ると婦人服のフロアーへ向かった。急いで戻りたいが適当には選びたくない。花名に似合う、質の良いものを買うつもりだ。
買い物を済ませた純正は大きな紙袋をいくつも肩にかけ車へと走る。もし、またいなくなってしまったら、不意によぎる不安が彼をより焦らせた。
「花名!」
勢いよくドアをあける。後部座席の花名は驚いていたけれど、純正は彼女がそこにいたことに心底ほっとした。


