後部座席に花名を乗せ、ブランケットを膝に掛ける。
「寒くない? 何かあったらすぐに言うんだぞ」
純正はすぐに車を発進させた。運転中、何度もバックミラー越しに花名の様子を確かめる。
「俺のマンションへ向かうつもりだけど、いい? それとも一度アパートへ寄ろうか」
今日は彼女をアパートへ帰すつもりはない。だが、着替えは必要だろうと考えた純正は花名の部屋へ行くことを提案する。しかし、
「……バッグを置いてきてしまって。合鍵は母が持っているんです」
花名は浮かない表情でそう言った。
「そうか。鍵は後で借りにいこう。服は買わないとな」
下着はつけているが薄手のシャツ一枚だけだ。なにより樹の服を着ているのが気に喰わない。


