「出ないですね。少し待ってみましょうか」
「はい」
淹れたてのコーヒーが目の前に置かれた。香りもよく、焼き物のカップもとてもおしゃれで店の雰囲気に合っている。
味もおいしいはずだ。しかし今の純正には楽しむ余裕などなかった。
花名の返信を待つ時間はとても長く感じた。
一時間ほど経過したところで桂は口を開いた。
「返信、ありませんね」
「……そうですね」
「出張中ではないのではないのかな、と僕も思います。というのも、小石川さん宛てにメールを送ってみたのですが返信がありません。さらに社内SEに調べさせたら会社のPCへは十日以上ログインしていないようです。出張に行っているのならログインしないはずがない……」
「やはり、そうですか」
桂の話を聞いて疑いが確信に変わり、純正は居ても立っても居られない状態に陥った。
「今すぐに、助けに行かないと……」


