愛しい人



風呂から上がると髪を乾かし、樹に借りた服を着た。

下着はさんざん悩んで洗濯機に入れた。スース―して落ち着かないが何日も同じ下着をつけるよりはましだろう。

「お風呂、ありがとうございました。洗濯機も借りてます」

「ああ、うん。服のサイズ……やっぱり大きいよね」

「あ、はい。でも、平気です」

 ダボダボのおかげでバストトップが浮かずに済んでいる。ハーフパンツはウエストの紐をきつく絞れば落ちてくることはなかった。

「ならよかった。じゃあ、夕ご飯食べよう」

「作ってくださったんですか?」

「そう。買い物に行けなかったから有り合わせだけど」

 テーブルにはトマトパスタとアクアパッツァが並べられていた。有り合わせには到底見えない。

「ワインは白にしようかな。小石川さんも飲むでしょ?」

「私は……」

「遠慮しないでいいんだよ。はい、座って」

 いわれるまま席に着いた。