愛しい人



「ねえ、君はなんにも悪くないんだから自分を責めなくていいよ。このタイミングでスマホが壊れたのは何か意味があるんだと思おう」

「……私は悪くない、ですか」

悪いことはすべて自分のせい。

そんな風に考えていつも自責の念に駆られていた。

辛かった。だから、樹の言葉に救われた気がした。

「……なんでしょう、樹さんにいわれると本当にそうなんだろうなって思っちゃいます」

「いやいや、僕じゃなくて神様がそういってる」

いいながら樹はいたずらっぽく笑った。花名もつられて笑顔になる。

「よかった。やっと笑った。さっきからずっと泣きそうな顔してたからさ……飲もうか! こういう時は美味しいお酒に酔うのもありだよ」

 樹は花名のグラスに並々とワインを注いだ。

飲みなれないワインを沢山飲んだせいだろうか。

花名はソファーでうとうとと寝てしまった。