愛しい人



茉莉花はうっすらと目を開けて純正を見た。

「ん? どうした」

「……先生? 私はどうしてここにいるんですか?」

 事故後の記憶がないのは当然だ。意識不明の状態で搬送されてきたのだから。

「そうだな……なんていうか、だいぶ長い間寝っていたんだよ」

 純正が言うと、茉莉花は納得したように頷く。

「……そう、ですか。それで体がうまく動かないんですね」

「今はそうでも、リハビリをしたら必ず動くようになるからな。焦らずにやって行こう」

「あの先生? リハビリ……が必要な状態なんですか、私の体」

 茉莉花は表情を曇らせる。かわいそうだが事実は伝えなければならない。

「まず、精査してからにはなるけど、リハビリはしないといけないかな」

「分かりました。先生の指示に従います」

 続く茉莉花との会話の中で、純正はある疑念を抱いた。