愛しい人

 ホテルに戻り、最上階にあるレストランへと向かった。

通りすがりの女性の視線が純正に注がれ、次にまるで値踏みするような視線を自分に向けているのの気付く。けれど、買ってもらったワンピースのおかげか純正の隣に立つ自信ができた。彼の腕にそっと手をかける。

きっと今までの自分だったらこんな風にふるまえなかっただろう。

少しづつでいい、”恋人“としてのふるまいが自然にできるようになれたら――そう花名は思った。

 エレベーターを降りると天井の高い開放的な空間が広がっていた。

ピアノの生演奏と様々な国の言葉が聞こえ、独特の雰囲気を醸し出している。花名ひとりではきっと足を踏み入れることすらできないだろう。

案内された席からは都心の夜景が一望することができた。

純正と向かい合い、シャンパンで乾杯する。美味しい料理に舌鼓を打ち、あっという間に時間は過ぎていった。