「もう大丈夫だろう」
純正にそう言われて、花名は水道の蛇口を留めた。
しばらく水にさらしていた指先はとても冷えてしまったけれど、先ほどまであった赤身は引いている。
純正の指示は的確で、恋人が医者であることにあらためて感謝の気持ちが高まった。
「純正さんがいてくれて助かりました!」
「大げさだな、花名は。でも、頼りにしてもらえるのはうれしいよ。さてと、お茶を飲んで休もうか」
「そうですね」
ハーブティーを飲み終え軽くシャワーを浴びると、自宅でシャワーを済ませてきたという純正と一緒にベッドに入った。
「純正さん、そっちせまくないですか?」
想像していた通りシングルベッドはかなり窮屈だ。
「まあ、そうだな。仰向けで並んで寝るのは無理があるけど、こうすれば大丈夫だよ」
純正は横を向いた状態で花名を背中から抱きしめるとぴたりと寄り添った。
「ほらね。これで布団からはみ出したりしないよ」
「そ、そうですね」
いいアイディアだと思ったが、純正の鼓動が背中でわかるほど密着しているこの状態では緊張して眠れないかもしれない。
そう思っていたのだけれど、純正の体温と呼吸の音が心地よくて、
いつしか花名は深い眠りに落ちていった。


