愛しい人

「分かりましたからもう許して」

 純正はぴたりと動きを止めた。肩で息をしていた花名はひとつ深呼吸をする。

「じゅ、純正さん?」

「なんで疑問形なの?」

 純正はくすくすと笑っている。

「ごめんなさい。ちゃんと呼べるように頑張ります」

「うん。いい子。花名は。かわいい」

そう言って純正は花名の頭にキスをする。

「ああ、本当にかわいいな花名は。俺、我慢できないかも……」

「え?」

「なんて嘘。ちゃんと約束は守るから安心して」

言いながら純正は花名をきつく抱きしめた。しばらくすると、純正の寝息が聞こえてくる。花名は彼の胸に額を押し付けると静かに目を閉じた。