「いいから早く来て」
純正に腕を引かれて花名は彼の胸の中にすっぽりと納まった。
まだ緊張して全身に力が入ってしまうけれど、居心地はとてもいい。肌と肌が重なって誰かの温かさを感じるということがこんなにも気持ちがいいものだなんて知らなかった。
「このまま離れたくないな」
純正は呟くように言った。花名も同じ気持ちだった。
「私も、先生のそばにいたいです」
「うれしいよ。それからひとつ提案があるんだけど聞いてくれる?」
改まった言い方に、花名は顔をあげて純正を見上げた。
「なんですか?」
「その呼び方、やめない? 先生じゃなくて純正。ほら、呼んでみて」
「無理です」
思わず口走っていた。下の名前で呼ぶなんて、恥ずかしくてできそうにない。
「どうして?」
「どうしてもです」
そう言って純正の胸に顔をうずめると、笑い声が降ってくる。
「なに照れてるの? 大丈夫だから、呼んでごらん。できないならお仕置きだよ」
純正は花名の体をベッドに敷き倒して、いたるところにキスを落とす。
くすぐったくて身を捩っても逃げることができない。こんな意地悪ならいくらでもされていたいけれど、さすがに身が持たない。


